NFTに投資をしてみたいけど、税金がネックになって始める決断をなかなかできていない人も多いのではないでしょうか。
利益が出たときに会社や周りの人たちにばれるのを避けたいという人もいますよね。
本記事では、NFTにかかる税金の基礎知識をお伝えします。
NFTで利益が出た場合にはいくら税金がかかるのか、課税のタイミングや税金の種類、周りにばれない方法なども含めて解説していきます。
●本記事の結論
・NFTは歴史が浅いので税金制度が整っていない部分がある
・NFTの税金は課税されるタイミングが複数ある
・NFTは会社や周りにばれない方法がある
NFTは大きな利益を狙える投資対象である一方で、税金などについて知らない人が多いのも事実。基礎知識を習得し余計な心配をせずに取引を行いましょう。
NFTの税金はまだ法整備が追いついていない
NFTは2017年から登場し、歴史はまだ浅い分野です。そのため、国内の税金制度がNFTに完全に対応できていない部分があります。
NFTに限らず、暗号資産に対する税金制度も完全とは言えない状態です。
2022年4月1日以降、国税庁のHPに「NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」という項目が追加されています。
いわゆるNFT(非代替性トークン)やFT(代替性トークン)が、暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTやFTを用いた取引については、所得税の課税対象となります。
引用元:国税庁 No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係
以上の表記があり、所得税の対象であることは示されています。
しかし、「現状の税制に当てはめただけで、NFTの本質を吟味していない」「今の税制が日本のNFT市場の発展を妨げている」「日本円を介さないNFTの取引はどう課税するのか」などの批判や意見が多い状態です。
以上のように、NFTにかかる税金は不完全で制度が変更になることもあるので、注意が必要です。最終的な判断は税務署に聞くしかありません。本記事では、一般的な基礎知識についてお伝えしますね。
NFTの税金が課税されるタイミングと計算方法
NFTの税金が課税されるタイミングとその計算方法について解説します。
「売買をして利益が出たときだけじゃないの?」と考える人が多いですが、実はそれ以外にも課税のタイミングがあるので気をつけてください。
- 新規でNFTを購入するとき
- 購入したNFTを売却するとき
- 作成したNFTを販売するとき
- NFTゲーム上で取引をしたとき
- NFT関連銘柄を売買したとき
新規でNFTを購入するとき
まず、NFTを購入するときに課税される可能性があります。
購入するときに税金がかかるのは違和感があるかもしれませんが、具体例を用いて説明します。
NFT購入時に税金がかかるのは、「イーサリアム(ETH)を調達した時とNFTを購入する時を比べて、イーサリアムの値段が上がっていた場合」です。以下、具体例です。
- 「1ETH=5万円」の時に1ETHを調達。
- その後、イーサリアムが「1ETH=10万円」に値上がり。
- 「1ETH=10万円」の状態で、1ETHでNFTを購入する。
この場合、自分が支払った日本円は5万円だけですが、10万円の価値のあるNFTを手に入れたことになります。
つまり、差額の5万円が利益ということです。
逆に、取得時よりも値下がりしたイーサリアムを使ってNFTを購入した場合は損失になります。
このように、1回1回の取引では利益になることもあれば損失になることもありますが、所得税は1年単位で計算しますので、1年間のトータルで収支を出すことが大切です。詳しくは後述しますが、このトータル収支と給料などを合算して納税額を計算することになります。
購入したNFTを売却するとき
購入したNFTを売却するときの税金はイメージが簡単なはずです。
買ったものを再度売って利益が出たら税金を払うのは当たり前ですね。この点は株式や債券と同じ考え方です。
「NFTを売却した金額-NFTを購入した金額」で利益が計算されます。
この計算は日本円ベースで行われることに注意してください。
マーケットプレイス上ではイーサリアム単位でNFT価格が表示されている場合があります。
そのため、「イーサリアムで換算するとマイナスだけど日本円ベースならプラス」ということもあり得ます。イーサリアムでの損益ではなく、日本円での損益を確認してください。
作成したNFTを販売するとき
作成したNFTを販売するときは、「NFTの販売による直接の利益」と「NFTが二次流通したときの報酬」という2種類の利益が発生する可能性があります。
NFTはスマートコントラクトという仕組みを使うことで、クリエイターの作品が転売されるごとに金額の一部がクリエイターに還元される設定ができます。そのため、「NFTが二次流通したときの報酬」が発生します。
NFTゲーム上で取引をしたとき
NFTゲームをプレイしていると、「キャラクターやアイテムを売買」したり、「ゲーム内で報酬として仮想通貨がもらえる場合」があります。
ゲームとはいえ、資産が動いているので税金の対象になる可能性があります。
キャラクターやアイテムの売買は、NFTを売買するのと同じ。すでに説明した「新規でNFTを購入するとき」「購入したNFTを売却するとき」と同様の考え方です。
また、報酬として仮想通貨をもらった場合も利益と判断される場合があります。
NFT関連銘柄を売却したとき
NFTの取引ではないですが、NFT関連銘柄を売買する時も税金が発生します。
「通貨を売却したときの金額-通貨を購入したときの金額」が利益になりますね。
NFT関連銘柄は暗号資産(仮想通貨)の一種でして、国税庁のHPに以下のような記述があります。
暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要となります。
引用元:国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年12月)
NFTの税金は取引によって種類が異なる
NFTは取引の頻度や目的がどう判断されるかによって、税金の種類が変わります。
「雑所得」「譲渡所得」「事業所得」のどれかに分類されますが、「譲渡所得」と判断されるのが税負担が小さくなる場合が多いです。
前述の通りで、NFTの税金制度はまだ完璧とは言えない状態なので、正確な判断は税理士や税務署などの専門機関に聞きましょう。
雑所得
NFTの税金について言及している専門家をリサーチしたところ、「NFTの税金は基本的に雑所得として申告するのが無難」という意見が複数見られました。
上で説明した課税のタイミングと合わせて考えると、
- 新規でNFTを購入するとき
- 購入したNFTを売却するとき
- NFTゲーム上で取引をしたとき
という場合は、雑所得となる判断される可能性があります。
雑所得としては、他にもFXの取引で出た利益やフリマアプリ等で出た利益などが含まれます。
雑所得であれば、20万円を超えない限り確定申告が不要です。
譲渡所得
2022年4月の国税庁の発表で、NFTの利益を譲渡所得として判断する可能性が示唆されました。
以前は「NFTは雑所得が原則」というのが常識だったのですが、4月以降は「雑所得派」と「譲渡所得派」で意見が割れているような状態です。
少し長いですが、国税庁のHPの内容を引用します。
(2) NFTやFTを譲渡した場合
・ 譲渡したNFTやFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当する場合(その所得が譲渡したNFTやFTの値上がり益(キャピタル・ゲイン)と認められる場合)は、譲渡所得に区分されます。
(注)NFTやFTの譲渡が、営利を目的として継続的に行われている場合は、譲渡所得ではなく、雑所得または事業所得に区分されます。
・ 譲渡したNFTやFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合は、雑所得(規模等によっては事業所得)に区分されます。
引用元:国税庁 No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係
要するに「①NFTが資産としての価値を持ち、②値上がり益(キャピタルゲイン)を得た場合で、③なおかつ継続的な事業として行っていない」なら譲渡所得でOKという内容。
これだけ聞くと、一般的なNFTの売買であれば譲渡所得で申告して良さそうですよね。
譲渡所得で申告した方が税負担は少なくなるため、最近では「NFTは譲渡所得で大丈夫!」という意見も増えています。
事業所得
NFTの取引が事業所得として判断されることもあります。
事業所得として判断される場合は、NFTの売買を継続的に行っていてそれが事業と考えられる場合ですね。
また、作成したNFTを販売するときも可能性があります。副業であれば雑所得ですが、事業と認識されれば事業所得となります。
これもケースバイケースで一概には判断できません。
NFT取引が会社や周りにばれない方法
「NFTの取引が会社にばれたくない」という人は多いと思います。
副業を禁止している会社もありますし、そもそもお金のことなので他人に知られたくないと思うのは当然ですよね。
そういう人に向けて、NFT取引が会社や周りにばれないための方法を紹介します。
そもそもNFT取引は副業に該当しない場合が多い
まず大前提として、NFT取引は副業に該当しない場合がほとんどです。副業を禁止している会社であってもNFT取引がNGなのはかなり少数派。
NFTは投資の一つとして考えることができるので、NFTを禁止すると株や債券などに投資をするのもダメということになってしまうからです。
ですので、「副業禁止だから」という理由でNFT取引を諦める必要はないです。
もちろん会社によって判断は変わるので不安であれば確認してくださいね。
住民税を「普通徴収」で納める
副業に該当するしないに関わらず、会社にNFT取引がばれたくない人も多いと思うので、対策をお伝えします。
NFT取引が会社や周りにばれない方法は、『住民税を「普通徴収」で納める』です。
住民税を納める方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2つがありまして、特別徴収は会社に住民税を納めてもらう方法で、普通徴収は自分で納める方法。
確定申告の際の「住民税に関する事項」という部分で、「自分で納付(普通徴収)」を選択します。すると、納付書が郵送されてくるので、銀行やコンビニなどで納税を行う流れになります。
特別徴収の場合は会社に住民税の通知がいくので、所得が増えていることに気づかれます。
ですが、普通徴収であれば会社に通知されることはないので、ばれないように納税が可能ということです。
普通徴収を選ぶという方法は、NFT以外の取引(副業など)においても当てはまります。
周りの誰に対しても秘密にする
もう1つ注意するべきことは、NFT取引をしていることを口外しないこと。
アナログな方法ですが、会社に別の収入があることがばれるケースとして社内の人に話してしまって拡散されるということが少なくありません。
利益が出たときは話したくなってしまうかもしれませんが、よほど親密な人でなければ基本的には秘密にしておいた方がベターですね。
NFTの税金に関するQ&A
損益通算はできる?
同一年内で、NFT同士の損益通算であれば可能です。
損益通算については国税庁のHPにも詳しく記載されているので、こちらをどうぞ。
NFTの法人税は?
法人でNFTを取引した場合は、利益に対して法人税がかかります。
一般的な暗号資産であれば、売却時ではなく期末ごとに評価額を計算しなくてはいけません。
NFTも同様と考えられますが、売却時のみに課税されると認識されることもあるようです。
NFTの税金制度が変わる可能性は?
NFTの税金制度はまだ発展途上で、批判も多いです。これからどんどん変更になる可能性も十分あります。
2023年度税制改正においても、NFTに関する法人税の見直しが検討されているとの報道もありました。
常に最新の情報をチェックし、取り残されないようにしましょう。
副収入としてNFTは魅力的!
以上、NFTの税金について基礎知識をお伝えしました。記事のポイントとしては以下の5つでしたね。
・NFTの税金制度が整っていない部分がある
・NFTの税金は課税されるタイミングが複数ある
・NFTは「雑所得」「譲渡所得」「事業所得」のどれか
・NFTは会社や周りにばれない方法がある
・NFTの税金は最終的に税務署に判断を委ねる
税金のルールはまだ未整備で、NFT取引自体もハイリスクであることは間違いありません。ですが、真剣に取引をしている人が少ない分、知識を身につけて戦略を立てればチャンスがたくさんあるということでもあります。
副収入を得る手段として魅力がある分野ではないでしょうか。まずはNFTに関する他の記事を読んで理解度を高めてみましょう。
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