NFTは最近ニュースで取り上げられることも増えてきました。なんとなくのイメージを持っているかもしれませんが、実際にどんなふうに活用されているのかは知らない人が多いのではないでしょうか。
本記事では、最新のNFT活用事例を紹介していきます。国内と海外それぞれの活用事例をお伝えした上で、今後の見通しを考えていきます。知っておくべき有名なものから最新のものまで幅広く紹介します。
●この記事の結論
・NFTはアートやスポーツなど様々な分野に活用されている
・大手企業もNFT業界に参入を始めており、注目度が増している
・現状を理解し将来を予想することで投資戦略が立てられる
現状を理解すれば、今後どんなふうに使われるのか予想を立てることも可能。将来を予測した上で投資戦略を立て、大きな利益を狙いましょう。
NFTとは?
まずはNFTの説明から。NFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったもので、「非代替性トークン」という意味を持っています。この技術を使うと、デジタルデータの所有権を明確にし、唯一無二の証明をすることができるようになります。つまり、デジタルデータに名札をつけるイメージですね。
今まで、デジタルデータは誰でもコピー可能であり価値が付きにくい状態でした。しかし、NFTによって所有権が証明されれば、データに希少性が生まれて価値を持つようになります。「今まで無価値だったものに価値を与える」という点がNFTの最大の注目点です。
アートやゲーム内アイテムなど、様々なものをNFTとして価値をつけることによって、大きな経済効果が見込めます。そんな期待から、様々な分野で活用され始めているわけですね。
国内の最新NFT活用事例5選
それでは、国内のNFT活用事例から紹介していきます。NFTは色々な分野で活用されており、今回紹介するもの以外にも面白い事例がたくさんありました。
NFT印鑑で誰がいつ押印したか証明できる
2021年8月、印鑑メーカーのシヤチハタが「NFT印鑑」の開発を発表しました。ブロックチェーン技術を持つ株式会社ケンタウロスワークスと早稲田リーガルコモンズ法律事務所と共同での取り組みです。
「NFT印鑑」は印影データをNFT化することで、印鑑を保有している人の情報と結びつけることができます。唯一性のあるデータですので、押印者本人の証明になることが大きな注目を集めています。
コロナ禍でリモートワークが増えた事により電子印鑑が普及しましたが、偽造されるリスクが問題視されていました。「NFT印鑑」はブロックチェーン技術を用いており偽造が不可能なため、電子印鑑のリスクを払拭することができます。
ウイスキー樽をNFT化したことで簡単に所有できる
2021年11月、株式会社UniCaskがウイスキーの樽をNFT化して販売しました。4000万円分のNFTがたった9分間で完売するという人気ぶりです。その後、第二弾・第三弾までプロジェクトが進んでいます。
ウイスキーの樽を所有することは、手続きが複雑で一般の人には実質不可能な状態でした。ですが、NFT化することで面倒な手続きはなくなり、小口投資もできるので少額からウイスキー樽を所有することが可能になっています。
また、20年後には所有している樽のウイスキーが実際にもらえるという特徴もあり、ウイスキー愛好家の中でかなり話題になっています。ウイスキー業界という従来のビジネスに、NFTがうまく活用された事例だと言えます。
坂本龍一氏の曲をNFT化してファンが満足感を得られるように
2021年12月、GMOグループが自社NFTマーケット上で、音楽家の坂本龍一氏の曲をNFT化して販売を行うことを発表しました。「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲である「Merry Christmas Mr. Lawrence」のメロディー595音を分割してNFT化するというものです。人気が高すぎて、サーバーがダウンするほどのアクセスが集中しました。
ファンにとっては、自分が好きなアーティストの曲を所有しているという喜びは想像を超える嬉しさがあるのではないでしょうか。また、NFTのメリットである小口販売ができたことが、これほどの話題になった大きな要因だと思います。音楽業界にもNFTが大きな影響をもたらした事例ですね。
お笑い映像をNFT化して販売
2022年4月、吉本興行がお笑い映像をNFT化(「よしもとNFTシアター」)して販売することを発表しました。チョコレートプラネットやニューヨークなどの人気芸人も含めた28組54種類のコント映像となっています。
NFTを買った人しか見れない映像であれば、ファンの心は動くはず。僕自身もお笑いは大好きなので、気持ちがわかります。吉本興行はいち早くNFTに参入しており、2020年の段階から、NFT化したトレーディングカードなどを販売していました。
お笑い業界にもNFTの影響力が及んでいるのはすごいですね。今後も新しいプロジェクトが生まれる可能性が高いと思うので注目です。
NFTを住民票代わりにして地方創生
2021年12月、新潟県長岡市の山古志村で、錦鯉をシンボルにしたNFTアート「Colored Carp」が発行されました。高齢化が進み、人口が800人ほどしかいない小さな村ですが、地域再興を目指してNFTを発行しました。
「Colored Carp」は電子住民票としての役割があり、実際に山古志村に在住していなくても村の運営に対する投票権を得ることができます。NFT保有者が村を訪れたときに滞在できる施設の建設など、デジタル住民が実際に足を運んでくれるような取り組みも予定しています。
人口が減少していく日本において、世界中からデジタル住民を募るというのは面白い発想ですね。国力低下が叫ばれている日本の希望の光になるかもしれません。
海外の最新NFT活用事例3選
続いては海外のNFT活用事例を3つ紹介します。規模も大きく、日本よりもNFT産業が進んでいますので、画期的なアイデアがたくさんあります。
「広告を表示しない」権利をやり取りできる
2019年末、アメリカの経済誌『フォーブス』が自社のオンラインメディア上で広告を非表示にする権利をNFTとして販売しました。2019年という比較的早い段階で大手経済誌がNFTを販売したことはインパクトがあったと思います。
会員登録することで広告を非表示にするというのは一般的ですが、NFT化することで権利を売買することができます。フォーブスを読まなくなった場合などに広告非表示の権利が不要になったとしても他社に売却することができます。
「権利を売買することが可能」というNFTの大きなメリットが活かされた事例ですね。
スポーツのプレー映像を所有することができる
2020年10月、アメリカのプロバスケットボールリーグNBAとDapper Labsが協力して、「NBA Top Shot」というプロジェクトが始まりました。「NBA Top Shot」はNBA選手のプレイのハイライト動画をデジタル上のカードとして所有することができるものです。
選手のスーパープレーが自分の所有物になるので、ファンにとっては嬉しいですよね。実際に見に行った試合をデータとして所有することができるので、思い出にもなります。僕はスポーツも好きなので、今回紹介する事例の中で、個人的に一番興味があります。
後述しますが、熱狂的なファンが存在するスポーツ業界はトレーディングカードなどが高値で取引された過去もあって、NFTと親和性がとても高いです。
バーチャルスニーカーでファッション業界にも影響をもたらす
2020年1月、RTFKT(アールティーファクト)という企業が誕生し、デジタルスニーカーを提供し始めました。名前の通り、デジタル(メタバース)空間で着用することができるスニーカーです。
RTFKTが2021年3月に開催したオークションでは、600足がたった7分間で完売したほどです。驚くほどの人気が出ており、歴史が浅い企業であるにもかかわらず、2021年12月には「NIKE(ナイキ)」に買収されました。
現実世界でもスニーカーはかなりのブームになりましたが、デジタル上でも注目を集めています。過去にリアルで流行ったものをデジタルに持ち込んだら再度流行するという流れになるかもしれませんね。
NFTを活用した大手企業の事例
徐々にではありますが、NFTは一般的になりつつあります。国内/海外の大手企業も、NFT産業に参入を発表しています。有名事例や将来性に期待できそうなものを紹介します。
LINEがNFTマーケットプレイスをオープン
LINEは、2022年4月にNFTマーケットプレイス「LINE NFT」の提供を開始しました。同社は2018年以来ブロックチェーンの開発に取り組んでおり、「LINE NFT」で本格的にスタートしました。人気アイドル「ももクロ」や上で紹介した「よしもとNFTシアター」などの有名なNFTも数多く取り扱っており、注目を集めています。
LINEは国内に9000万人を超えるユーザーがいるため、大規模な取引が期待できます。NFT自体が一般的になれば、利用者が爆発的に増える可能性があります。
メルカリがパ・リーグのメモリアルシーンをNFT化
2021年12月、メルカリはパ・リーグ6球団とパシフィック・リーグマーケティングとNFT事業で連携することを発表しました。「パ・リーグ Exciting Moments β」というサービス名で、メモリアルな瞬間を動画にしてNFT化するというものです。
スポーツのプレイ動画をNFT化するというのは、上で紹介した「NBA Top Shot」と近しいサービスですね。日本において圧倒的な人気を誇る野球がNFT化されることで、若者だけでなく中高年層もNFTに興味を持つきっかけになるかもしれません。
ドルガバが新作コレクションをNFT化して発表
2021年9月、イタリアを代表するブランド「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」が新作のコレクションをNFTで発表しました。マーケットプレイス「UNXD」と連携して行っています。
落札価格は、9点で総額約6億円。デジタルなファッションにもこれだけの価格がつくのは驚きですよね。NFTとファッション業界との相性も良さそうです。
他にも、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)やグッチ(GUCCI)、アディダス(Adidas)などの有名ブランドも参入しており、今後さらに注目を集める可能性が高いです。
バドワイザーが過去のデザインをNFT化して販売
2021年11月、アメリカのビール大手バドワイザーがNFTコレクションを発売し、数時間で完売しています。「Budverse Cans Heritage Edition」というコレクションで、ブランドの歴史的な写真や広告のデザインなどがNFT化されています。同社が最初に缶ビールを発売した1936年に因んで、1936個のNFTが販売されました。
過去の写真やデザインをNFT化しただけなので、コストを安く販売することができているはずです。このように、今までは価値がなかった過去の写真やデザインが価値を持つようになるというのは、多くの企業にとってのビジネスチャンスになりますね。
NFTの活用で失敗した事例もある
NFTの活用事例をいくつか紹介しましたが、「NFTを始めれば全てうまくいく!」というものではなく、失敗事例もあります。
最も代表的な失敗としては、世界初のツイートがNFT化されて落札された話です。2021年3月、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏による世界初のツイートが約3億円で落札されました。内容は「just setting up my twttr(ツイッターのセットアップを行なった)」というシンプルな文面でしたが、3億円という金額で落札されたことで話題になりました。
ここまでの話は有名ですが、実は続きがあります。
この初ツイートを落札したのは、イランの起業家であるシーナ・エスタビ(Sina Estavi)氏です。エスタビ氏は落札して1年後の2022年4月、同NFTを4800万ドルで出品しましたが、再興入札額はたった30,814ドル(約391万円)。購入当初の1%程度の値段にしかなりませんでした。
何でもかんでも高値で売れる〝NFTバブル〟の状態ではなくなっているということですね。NFT本来の価値を見極めていく必要があるのではないでしょうか。
NFTの活用で将来性が期待される分野
今後、NFTの活用で将来性が期待できる分野としては、以下の4つがあります。特にNFTと相乗効果が期待できる分野ですので、注目しておくべき。
- アート
- スポーツ
- ゲーム
- 不動産
アート
まずはNFT活用の代表的な分野である「アート」です。
NFTが登場する前は、デジタルアートはネット上に拡散されて無料で使い回されるのが当たり前でした。唯一無二のオリジナルを証明できるNFTはこの問題を解決しています。また、NFTが二次流通したときにクリエイターに売上の一部が還元されるという画期的な仕組みもあります。
コレクションが好きな人は大きなお金を払ってでもNFTを購入するでしょうし、クリエイターにとっても収益を得やすくなっているので質の高いアートが生まれやすい環境になっています。今後、市場規模がどんどん拡大することが予想できます。
スポーツ
「スポーツ」もNFTが活用事例が多く、これからも期待できる分野です。以前から、サッカー選手や野球選手のトレーディングカードが数百万円で取引されるということが話題になっており、そもそもコレクションをしたい人が多い分野です。
NFTによってオリジナルの証明になることも大きいですし、デジタルデータなので紛失したり劣化する危険性が少ないのもメリットです。上で紹介した「NBA Top Shot」のような選手のプレイ動画をデータとして販売する取り組みも増えており、無限の可能性があるように感じます。
ゲーム
NFTは「ゲーム」業界にも革命を起こしています。
NFTゲームをプレイすることも一般的になってきました。ゲーム内アイテムがNFTになることで、課金したとしても転売できる可能性があるのが面白い点です。獲得したアイテムで利益が出るのであれば、やり込み要素にもなりますよね。
東南アジアでは、NFTゲームをプレイすることで生活費を稼いでいる人も珍しくなく、「Play to Earn(稼ぐためにプレイする)」という言葉が話題になっています。僕が子供の頃は「ゲームのやりすぎはだめ!」と悪いもののように扱われていたゲームですが、今ではお金を稼ぐ手段になっているということです。
不動産
NFTが活用される「不動産」はデジタル空間内のものです。デジタル空間の中に土地があり、その上に建物を立てたりするということですね。僕も最初聞いた時は「デジタル空間の土地なんて価値があるのかな」と思いましたが、大きな金額で取引されています。
世の中がリアルよりもデジタル中心になる可能性を考えれば、デジタル空間内の土地が値上がりするかもしれません。
NFTの活用事例から考える今後の投資戦略
では、NFTの活用事例から今後の投資戦略について考えていきましょう。結論から言うと「情報をできるだけ早く取得し、すぐに購入し、値段が下がり始めたら売る」という戦略がおすすめ。
NFTはバブル的な相場ではないにしろ、少しのニュースで大きく値動きをします。短期間で大きく上昇した後に、短期間で大きく下落するというパターンが多い印象。
「底値で買う」「天井で売る」というのはほぼ不可能なので諦めて、「ニュースが出て上がり始めで買う」「価格が下がり始めたのを確認して売る」が現実的です。
↑は先ほど紹介した「NBA Top Shot」の価値の変動です。一時的に大きく値上がりして、その後急落していますよね。「話題になってきたから買ってみようかな」ではすでに遅いんですね。むしろ、話題になってきた時はピークに近い可能性があるので売り時と考えることすらできます。
どのタイミングで購入するかがとても大切。そのためにも最新の情報を取得していくことが必要になります。TwitterやYouTubeで有益な情報発信をしているアカウントがあるので紹介しておきます。フォローして情報収集に役立ててください。
NFTの活用事例を今後の取引の参考にしましょう!
以上、NFTの活用事例について解説してきました。記事のポイントは以下の4つでしたね。
- NFTはアートやスポーツなど様々な分野に活用されている
- 大手企業もNFT業界に参入を始めており、注目度が増している
- 現状を理解し将来を予想することで投資戦略が立てられる
- いち早く情報を仕入れて、短期で売り抜けるのが基本戦略になる
NFTは活躍の場を広げており、今後もさらに注目度が増していくでしょう。まだ歴史が浅くてリスクも大きいですが、将来的には時代を変えるほどの影響力がああるのではないかと思います。
まだNFTについて知らない人が多い段階から投資をしておけば、将来大きな利益を得られるかもしれません。
まずはNFTの仕組みや将来性をしっかり理解した上で投資を考えていくのがいいと思います。以下の記事は参考になりますのでご覧ください。
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